あらゆる物事における「成果」を追求する上で、仮に、その目的(成果)を達成する為の共通した「真理」が有るとしたなら、その1つは紛れもなく『その物事の成り立ち・仕組み(基礎・基本)を根底から押さえる』に他ならないと思います。

それこそ、ただ闇雲に物事に取り組んだところで、その物事における基礎・基本が疎かであれば、「何から手を付けるべきか」「何を学び、どう活かすべきか」、このような大前提として押さえておくべき事すら見えてきません。

言うなれば、その物事の「成り立ち、仕組み(基礎・基本)」とは、大前提の『土台』に当たる部分であり、あらゆる業界・業種を問わず、視点を変えて俯瞰してみると、物事で成果を上げる人ほど、その土台固めを徹底して行っている傾向が窺えるはずです。

長期的に成果を追求する上での「定石」

もちろん、物事を推し進める上での「定石」は人によって異なるものだと思いますし、成果を出す事だけに注力するのなら、「基礎・基本」以上に心血を注ぐべき事があるとお思いになられる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、短期的な成果を追求したいだけなら、あらゆる物事において、いわゆる「テクニック」だけで十分な局面はあると思いますし、その場合、むしろ「基礎・基本」を押さえる事は、逆に遠回りになるケースも無いとは言い切れないと思います。

ただ、「長期的に成果を上げ続ける」事を目的とするのなら、先々の学びや実戦で、必要なもの、必要でないものを見定めていく為にも、その物事の根底にある「成り立ち・仕組み(基礎・基本)」は押さえておくべきというのが私の考えであり、それを行うか行わないかで、その後の命運を大きく分ける事にさえなると思えてならないんです。

そして、その事が顕著に現れるのが、スポーツの分野であり、素晴らしい成績を残す選手ほど、人並み以上に「基礎・基本」を徹底して磨き続けている事に加え、ビジネスや芸術などの世界でも、その分野における数々の伝記や格言から窺えるように、突出した成果を残し続ける人達は、例に漏れず、土台固めに心血を注いでいる(いた)傾向が見えてくるわけです。

そして、それは投資・トレードの世界でも同様であり、人並み以上の成績を叩き出し続ける投資家・トレーダーは、「相場(投資・トレード)の成り立ち・仕組み」を徹底して押さえている傾向にあるという事です。

なぜ相場は動くのか、誰が相場を動かすのか

その上で、相場における基礎・基本に当たるものは何かという点について、これは「何をもって基礎とするか」によっても、その捉え方は大きく変わると思いますし、それこそ「指標の使い方」「銘柄の選び方」などのように、具体的な方法論を挙げられる方も中にはいらっしゃるかと思います。

ただ、上記のような具体的な方法論に当たるようなものは、飽くまでも、それらを支える「背景(成り立ち・仕組み)」があって初めて成立・機能するものだと思いますし、多くの負けているトレーダーも、それらに対する理解・認識を深めても尚、「負けている」という現実がその事を如実に物語っているように思えてなりません。

故に、その前提の上で、上記で挙げた方法論の「背後にあるもの」こそが、まず押さえるべき「相場の成り立ち・仕組み(基礎・基本)」であると考えられるからこそ、限界まで突き詰めた先の純粋な疑問として浮かぶ、

タイトルが入ります。

・なぜ相場は動くのか
・誰が相場を動かすのか

これらを解き明かす事で見えてくる「何か」を深く理解・認識する事が、相場の世界を渡り歩く上での出発点であるべきと考えているわけです。

利益に基づく連鎖的な合意の結果として相場は動く

では、先立つ疑問として提示しました「なぜ相場は動くのか」「誰が相場を動かすのか」、これら問いに対しては、単純に『買い手と売り手、双方の合意に基づく売買が成立し続けるからこそ、相場が絶え間なく動き続ける』というのが一般的な回答になると思います。

ただ、一歩踏み込んだ答えを示すならば、『買い手と売り手、双方が自身の利益(メリット)を追求した結果として、双方の合意に基づく売買が成立し続けるからこそ、相場が絶え間なく動き続ける』というのが、より本質に迫った回答になるのではないでしょうか。

つまり、相場に参加する投資家・トレーダーは、基本的に「利益を得る事(= 儲ける事)」を目的として相場に自らの資金を投じるという前提があり、その前提の上で、買い手と売り手の双方における連鎖的な合意(取引)が絶え間なく成立するからこそ、実際の相場も常に変動し続けるという事です。

もちろん、相場の世界に身を投じるという事は、いずれ「損を確定する局面(損切り)」に遭遇する事も有りますが、突き詰めると、その損切りという行動すら「それ以上損を拡大させない為の防衛手段」という点で、自らの(長期的な)利益に繋がる行為に他なりません。

純粋な儲けの追求、損を確定する防衛行動、その双方に内在する潜在的な行動要因は、紛れもなく『利益(メリット)』が前提にあるという事であり、突き詰めて、あらゆる投資家・トレーダーは、自らの利益を追求する目的に従って行動していると考えられるわけです。

とは言え、敢えて言及せずとも、これは「当たり前」の話ではないかと思います。

多くの投資家・トレーダーも当然の理屈として認識していると思いますし、この記事をご覧になっているあなたも、その認識をお持ちになられているはずです。

ただ、上記で示させて頂いた回答は、飽くまでも、表面的な答えでしかなく、実は、もう少し掘り下げる余地があります。

つまり、投資家・トレーダーが、自らの利益を追求するに当たって、何を基準に売買を行っているか、そこに確固たる「理由」と「動機」があるという事であり、その点を解明してこそ、「核心」に迫った『相場の成り立ち・仕組み』が鮮明に見えてくるわけです。

その合意を取り付ける「拠り所」となるモノの正体

そして、その売買を行う上での確固たる理由と動機、つまり、投資家・トレーダーが相場判断を下す上での「根拠」に当たるものこそ、俗にいう「ファンダメンタル」「テクニカル」と呼ばれるものに他なりません。

一般的に、「ファンダメンタル」は、

タイトルが入ります。

「ある企業の決算発表は昨年よりも悪かった」
「ある国の雇用統計結果は昨年よりも改善された」

などのように『対象となる銘柄(企業、通貨、コモディティなど)に関連、そして、影響を及ぼす情報』が該当すると共に、そのファンダメンタルに基づく相場動向を予測する行為が『ファンダメンタル分析』とされ、「テクニカル」は、

タイトルが入ります。

「今日の価格は昨日よりも〇〇円上昇している」
「今日の最高値、最安値は△△円と□□円だった」

などのように『対象となる銘柄(企業、通貨、コモディティなど)に基づく過去から現在までの値動きそのものの情報』が全般的に該当するものであると共に、そのテクニカルに基づく相場動向を予測する行為が『テクニカル分析』とされており、限りなく全ての投資家・トレーダーは、これらの内、どちらか、もしくは両方の視点に基づき相場を捉えていると言われています。

その上で、ファンダメンタルは、その対象銘柄に内在する本質的な「価値」を左右する要因となり、また、テクニカルは、相場を捉える投資家・トレーダー達が値動きを予測する際の「心理」を左右する要因となる傾向から、その両者の「複合的な思惑の結果」として相場が形成されると考えられるわけです。

ファンダメンタルとテクニカル、それらを捉える具体的な視点

ファンダメンタル、テクニカルに対する補足的な説明として、先立つファンダメンタルの場合、「対象銘柄に関連、影響を及ぼす情報」が該当するという点で、例えば、株式を例に取ると、ある企業が、

世界を変える革新的な新技術を開発した

という場合は、当然その企業価値(株式価値)が高まるはずですし、逆に、

不祥事により会社が壊滅的なダメージを被った

という場合は、当然の理屈として、その企業価値は地に落ちる結果となるはずです。

良くも悪くも企業価値が変わるという事は、企業価値を変える要因(情報)が価格に織り込まれていない以上、価格に反映されて然るべきであり、その意味で、ファンダメンタルは、本質的な「価値」を左右する要因になり得るという事です。

対して、テクニカルの場合は、「対象銘柄に基づく過去から現在までの値動きそのものの情報」というそのままの意味で捉えて頂いて問題ありません。

例えば、

多くの投資家・トレーダーが”抵抗帯”だと意識する価格に相場が到達する

という状況があった場合、その時点において、一時的に「売り」方向へと価格が押し戻される傾向にあり、その意味で、テクニカルは、投資家・トレーダー達が値動きを予測する際の「心理」を左右する要因となり得るという事です。

その上で、ファンダメンタル、またはテクニカルに基づく予測を行った「買い手」「売り手」の双方が、複合的、そして連鎖的に売買を行なった結果として相場が変動するわけです。

故に、そこから垣間見える事として、相場においては、対象銘柄の価値を分析した上で売買を行っているファンダメンタル派の投資家と、過去から現在の値動きを捉える投資家心理を分析した上で売買を行っているテクニカル派のトレーダーが存在しているという事です。

相場の”到達点”は「本質的価値」が決定する

ここまでの解説を踏まえて頂いた上で、相場は最終的に「本質的価値」に近づいていくと言われています。

対象銘柄の現在価格が幾らであろうとも、最終的には、その対象銘柄が持つ本来的(本質的)な価値(価格)に到達する傾向があるという事です。

その本質的な価値を様々な手法で算出した上で、投資判断を下す分析手法が、他でもない、ファンダメンタル分析であり、そのファンダメンタル分析に基づく投資で最も成功を収めている投資家が「ウォーレン・バフェット」という人物に他なりません。

彼の場合、主たる投資対象として「株式」を生業に、その株式(企業)の本質的価値を算出した上で、「割安であれば投資する」という手法を60年以上に渡り実行した(実行している)結果として、当初軍資金150万円から推定資産約15兆円にまで築き上げたと言われており、その資産は今も尚、増加の一途を辿っているとされています。

その上で、そのファンダメンタル分析に基づく投資は、投資対象の本質的価値に到達するまで「持ち続ける」事が1つの条件とされており、また、バフェット本人も「数年スパン」を前提に投資を行なっている事から、基本的に、ファンダメンタル分析は『長期を前提とした手法』として広く認識、実践されているわけです。

数秒、数分、数時間で、その投資対象の「価値」や、その価値を捉える「投資家の視点」などが劇的に変わる余地は無いと思われる為、基本的に、ファンダメンタルは長期的、大局的な値動きに影響を及ぼす傾向が強いと考えられます。

当然、その投資対象(銘柄)の価値や投資家の視点を左右する突発的な「何か(会社の不祥事、地政学リスク等)」が発生すれば、その限りではないですし、常にその可能性は「有る」わけですが、とは言え、そのような突発的な事象が発生する事自体、極めて稀なケースです。

従って、そのような極めて稀なケースを除けば、投資対象の本質的価値を見極めるファンダメンタル分析は、その基本として、『相場の長期的な値動きを形成する要因』に他ならないという事です。

本質的価値に依存しない局所的な心理(値動き)の存在

対して、「短時間(数秒、数分、数時間)の値動き」は、その投資対象の値動きを捉える投資家心理により支配される傾向にあり、それを捉える為に行う手法が「テクニカル分析」に他なりません。

特定の「価格帯」に相場が到達する事によって、その瞬間における相場が「買い優勢となるか」、「売り優勢となるか」、そのような心理的攻防が繰り広げられる価格帯における投資家達の「心理(思惑)」を分析する事こそ、テクニカル分析の「本分」であり、これはまさに短時間の値動きを捉える上で有効となります。

その上で、相場にひしめくその瞬間的な「心理的バイアス」の行く末を、統計などを交えて連鎖的に導き出す事が、テクニカル分析における1つのセオリーとして広く認識、実践されているわけです。

ただ一方で、相場の性質上、長期的な視点においては、相場は本質的価値に近づく傾向が強い事から、テクニカル分析により「長期的、大局的な値動きを分析・予測する事は極めて難しい」というのが実情です。

タイトルが入ります。

ただ、これは私個人の見解であり、テクニカル分析に基づく数か月、数年といった長期的な値動きの予測は、もしかすると可能なのかもしれません。

とは言え、私自身、「投資家の心理的バイアスが長期間に渡って値動きに影響を与え続ける」とは、到底考えられないんです。

なぜなら、テクニカル1つとっても、投資家・トレーダーの心理に影響を及ぼす「相場要因(テクニカル要因)」は常に現れますし、加えて、ファンダメンタル派の投資家も常に相場に介入してくるからです。

相場に資金を投入する時点において、「決定的なテクニカル要因(決定的な根拠)」が有ろうとも、その決定的な要因を打ち消すレベルの「他のテクニカル要因」が、その後の相場において出現する可能性は常にある為、仮に「テクニカルのみに支配される相場」であったとしても、数ヶ月、数年といった長期間の相場分析は、その時点におけるテクニカル分析だけで『到底網羅できるはずがない』と考えているわけです。

つまり、テクニカル分析は、その分析範囲とする「期間」が短ければ短いほど、「その間における投資家の心理的バイアスが、売りと買い、どちらの方向に優勢となるかを的確に捉えられる傾向にある」と考えられるわけです。

まとめ:なぜ相場は動くのか、誰が相場を動かすのか

ここまでお伝えしてきました通り、ファンダメンタルとテクニカルに内在する相場要因、並びに、それらを拠り所とする投資家・トレーダーの傾向から、

タイトルが入ります。

・長期的、大局的な相場は、ファンダメンタルの影響を色濃く受ける
・短期的な相場は、テクニカルの影響を色濃く受ける

という事であり、まさしく、相場に渦巻く投資家・トレーダーは、上記のいずれか、もしくは両方を前提とした投資判断の上で、飽くまでも『彼らの心理(思惑)に基づく連鎖的、複合的な売買の結果』として相場は動いていると考えられます。

そして、それこそ、冒頭でお伝えしました、「相場の成り立ち・仕組み(基礎・基本)」であり、直接的に相場を動かすものの正体に他なりません。

故に、相場をどの程度の範囲で捉え、そして、投資戦略を組んでいくかは、上記に基づく基準の上、判断できなければならないという事です。

良ければ、本記事を「発展」させた内容も併せてお読みください。

その上で、本格的に、今後の相場予測を行なっていくに当たり、ファンダメンタル分析かテクニカル分析か、そのどちらを拠り所とするかで、その後の命運が大きく変わると言っても過言ではありません。

実質的に、ファンダメンタルとテクニカル以外に相場を捉える上での判断材料は「ほぼ無い」に等しいのが実情だからです。

そして、その判断に先立つ形で押さえておくべき事の1つこそ、本記事で解説させて頂いた内容に他なりません。

とは言え、また違った観点でのファンダメンタル分析、テクニカル分析における「有効性」を押さえておく事は、1つの大きな決断を行うに当たって、極めて重要な事だと思います。

よって、本記事を発展させた内容として、以下のような記事をご用意しておりますので、興味があれば、是非一度、お読みになってみてください。

> ファンダメンタル分析とテクニカル分析。それら有効性に対する考察

以上、『なぜ相場は動くのか、誰が相場を動かすのか』について言及させて頂きました。

本記事があなたの投資活動に、何らかの形で寄与できれば、幸いでございます。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。