小さな力で大きなものを動かす「てこの原理」に倣って、小さな資金で大きな資金を運用できる「為替取引(FX)」の仕組みが、俗に「レバレッジ取引」と呼ばれる所以であり、このレバレッジを用いる事で、文字通り「小資金で大きなリターン(利益)」を追求する事ができます。

ただ一方で、運用資金を「大きくできる」という事は、それに比例して「リスク(損失)」も大きくなる事を意味する為、過剰なレバレッジ取引は「致命的な損失」を被る可能性を引き上げてしまう危険性があるわけです。

とは言え、この程度の理解は当然の範疇として多くの投資家・トレーダーが認識、そして、警戒しているのが実情である事から、100倍、200倍などの「過剰なレバレッジ取引」を実際に行う人はほんの一握りだと思います。

ですが過剰なレバレッジでなくとも、現実として、レバレッジを用いた事で負けている人が後を絶たないのが実情で、一説によれば、実に「9割」にのぼる投資家・トレーダーが「負けている」と言われており、中には「再帰を図れないレベルの損失」を被るような方も珍しくはないようです。

飽くまで、これは「定説」ですので、その実情は知る由もありませんが、FXに代表される「為替取引」や「仮想通貨(ビットコインFX)」においては、あながち『間違いではない』というのが私の考えです。

そして、その結果を生む要因の1つは、他でもない「レバレッジ取引」であり、多くの人がこのレバレッジが持つ「本当のリスク(危険性)」を理解しないまま、ことごとくレバレッジの「罠」に嵌っているのが現実なんです。

よって、本日は「FX、仮想通貨におけるレバレッジ取引の意味と本当の危険性について」と題して、レバレッジの危険性や考え方に言及していきたいと思います。

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自らの大切な資金を相場の世界に投じるからには、まず何より、そこに内在する「リスク(危険性)」を徹底して認識する事が先決だと思います。

その上で、相場に内在する「リスク」は決して1つに限定できないものの、本記事で言及する「レバレッジ」は、そのリスクの大部分を左右する要因である事に違いありません。

ただ実情として、多くの人は、このレバレッジを「表面的」にしか認識していない傾向にあり、それが結果として、負けてしまう要因、勝つ事ができない要因を生み出してしまっているんです。

その意味で、本記事で言及する内容は、まさに相場の世界で負けてしまう要因を「取り除けるもの」となっているはずですので、どうぞ最後までお付き合いください。

FXにおけるレバレッジ取引の「本当の意味」とその危険性について

まず率直に結論から申し上げるならば、レバレッジ取引を行う上での「本当のリスク(危険性)」は、

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・損益幅に起因するリスク
・確率論に起因するリスク

上記2つに集約できると考えており、レバレッジを用いて負けている投資家・トレーダーは、これらの内の「どちらか」、もしくは「両方」に当て嵌まっている傾向にあります。

往々にして、そのような方々は、レバレッジに対する表面的な理解に終始しているのが実情で、まさにレバレッジに内在する「2つのリスク」に目を向けられていないわけです。

レバレッジ取引における本当の危険性:「損益幅に起因するリスク」

その上で、レバレッジを用いて負けている投資家・トレーダーの中には、単に、

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レバレッジを用いる事で、リスクとリターンが同じ割合だけ引き上げられる

とだけ認識されている方も少なくはなく、その認識の上で、10倍、20倍などのレバレッジ取引を普通に行なっている人も珍しくはありません。

レバレッジ取引自体が「少ない資金で大きな資金を運用できる」という文字通りの特性を有しているので、リスクとリターンが「同じ割合」だけ引き上げられる事になるのは確かです。

ですがレバレッジの特性とは裏腹に、FXにおいては、相場の変動によって膨らでいった損失は資金が底を付く前に取引会社側の「ロスカット」によって強制的に決済されてしまう関係上、実質的に、レバレッジを用いる事で「リスクとリターンを同じ割合だけ高められる」という理屈は成り立たないんです。

例えば、1つの例として「ドル円(USD/JPY)」の買いポジションを持つ状況をイメージしてみてください。

仮に、現在のドル円価格が「130円」だったと仮定して、100万円の運用資金(証拠金)で「ドル円:100万円分」の「買いポジション」を建てたとします。

その場合は、飽くまで「現物分(レバレッジ1倍)」に相当する取引になる為、基本的に、ロスカットが発動する事はありません。

現物相当の売買においては、その価格が「0円以下」にならない限り、運用資金が底を付く事がないからです。

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厳密に言えば、ロスカットルールが発動する基準は取引会社によって異なる為、現物相当分のポジションであっても、0円となるまでに強制決済が適用となるケースは存在します。

ですが、同様の運用資金で「ドル円:200万円」の「買いポジション」を建てたとして、この場合は「レバレッジ2倍」の取引に相当する事から、仮に、ドル円価格が「130円 → 65円」と半値以下になってしまった時点で運用資金額以上の含み損が発生してしまう事になります。

仮に、その時点で強制決済が発動しなければ、その後に発生する含み損は、実質的に、取引会社が(一時的にでも)負担しなければならない為、運用資金がショートする前にロスカットによる強制停止措置が執行されるわけです。

要するに、レバレッジを用いる事で、現物取引(相当)では存在しない「強制決済に到達するまでのゴール(終着点)」が発生してしまう事から、常に「全損」というリスクが付き纏う事になるという事です。

強制決済という名の不可避の「ゴール(終着点)」

確かに、為替相場は各国の通貨価値(価格)が長期的に見ても「数十円単位の値幅」で変動している範囲ですので、レバレッジ2倍程度であれば、殆どの場合、ポジションが強制的に決済される事はまずあり得ません。

ですが、レバレッジ倍率を3倍、4倍...、と増加させていく度に、強制決済に到達するまでの「ゴール(終着点)」が現実的な範囲に収まっていく事になります。

また、一部の通貨を除いて、ドル円を筆頭とする通貨ペアは、他のボラティリティが高い銘柄と比べて変動率が低い傾向にある事から、為替取引を生業とする人の中には、普通に10倍、20倍のレバレッジを利用する人も少なくありません。

故に、現実的な範囲でロスカットが発生する可能性を抱えて取引を重ねる投資家・トレーダーは「意外と少なくはない」という事です。

以上の事からお分かり頂ける通り、ことFXにおいては、レバレッジを活用すればする程、結果として「不利」な戦いを強いられる事になります。

何より、一度でもロスカットが発生してしまえば、その直後に相場が元のレートに戻っていったとしても、強制的に決済された損失は二度と戻ってきません。

事実、FXの場合は、先述した通り、長期的に見ても一定の値幅を推移する傾向にある事から、レバレッジを利用しなければ「結果的に損失とならなかった」というケースは普通に多いはずです。

実際、株の現物取引と比べて、FXで負けている人は、金額的にも、人数的にも「圧倒的に多い」と言われていますが、その所以は、まさにレバレッジを用いる事で「マイナス方向(損失方向)」の「終着点」を狭めてしまっている事が原因に他ならないという事です。

レバレッジ取引における本当の危険性:「確率論に起因するリスク」

ただ、ここまでの話は、飽くまで「損切り」を行わない事が前提の話ですので、然るべき価格帯でしっかりと損切りを行えるような「トレードルール」を構築している人にとっては、逆にレバレッジの「恩恵」に預かれる事になります。

例えば、以下のような高いパフォーマンスを実現できるトレードルールを確立していた場合、

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・70%の確率で資金が10%増加
・30%の確率で資金が10%減少

このトレードルールを基に継続的に売買を行っていけば、理論上、資金が右肩上がりに増加していく事になるはずです。

よって、このトレードルールを手掛けていく上で、そのレバレッジ倍率を「2倍」に設定した場合は、言うまでもなく、理論上の収支も「2倍」に増える事となります。

故に、レバレッジを活用するような人の中には、予め、それを活用できるだけの「有効なトレードルール」を構築する人も決して少なくありません。

飽くまで、レバレッジは「然るべき基準(ルール)」の上で、そのメリットを最大限に引き出す事ができるからです。

ただ実際は、そのような「有効なトレードルール」を構築しても尚、負けている人が後を絶たないのが実情で、往々にして、彼らの敗因は、

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トレードルールに見合わないレバレッジ取引

を行なっている事に起因しています。

例えば、先立つトレードルールをレバレッジ倍率「5倍」に設定した場合、その倍率に準じて「勝率」が変動する事はありませんが、一方の「資金増減率」に関しては、以下の通り、大きく変動する事がお分かり頂けるはずです。

タイトルが入ります。

・70%の確率で資金が「10% × 5(倍) = 50%」増加
・30%の確率で資金が「10% × 5(倍) = 50%」減少

この場合、30%の確率で運用資金の「半分」が吹き飛ぶ事を意味しています。

また、レバレッジ倍率を「10倍」に設定した場合は、資金増減率に対して「10」を掛ける形になる為、

タイトルが入ります。

・70%の確率で資金が「10% × 10(倍) = 100%」増加
・30%の確率で資金が「10% × 10(倍) = 100%」減少

30%の確率で運用資金の「全て」を失ってしまうという事です。

言うまでもなく、このようなレバレッジ倍率を前提に取引を行えば、どれだけ有効なルールであろうとも、まず資産を構築する事などできません。

仮に、70%の確率に偏って「勝ち星」を重ねられたとしても、一度でも「負けの目」を引いた時点で、それまでに積み上げた資産の大半、もしくは全てを吹き飛ばす事になるからです。

現実として、反対の30%の確率に偏る事自体、十分、現実的な範囲ですので、状況によっては、立て続けに運用資産の大半を吹き飛ばす可能性も否定し切れません。

もはや、その時点で上記トレードルールを前提とした高レバレッジ取引が「破綻している事」はお分かり頂けると思います。

ですが現実は、そのような「破綻したロジック」を基に取引を重ねる方が意外と多く、彼らが「有効なトレードルール」を持ってしても負けてしまうのは、往々にして、

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トレードルールに見合わないレバレッジ取引

が大きな原因になっているという事です。

有効なトレードルールは、レバレッジを用いる事で簡単に「破綻」する

よって、レバレッジを用いる場合は、トレードルールの「勝率」や「リターン」に視点を向けるのではなく、飽くまで「リスク」の方に視点を向ける必要があります。

投資・トレードで長期的な資産構築を図っていく上では、何を差し置いてでも「資金をゼロにしない事」が重要である以上、まず何より、そのトレードルールが、どの程度の「リスク(損失)」を前提とするのかを把握しなければならないという事です。

とは言え、そのリスクは「損失」だけではなく、「確率の偏りに基づくリスク」というものも考慮してレバレッジを設定できなければなりません。

例えば、先立つトレードルールを例に説明すると、

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・70%の確率で資金が10%増加
・30%の確率で資金が10%減少

このトレードルールは、レバレッジを用いない取引の上では「非常に優秀なパフォーマンス」を発揮できる余地があるものの、投資・トレードは、飽くまで「確率論」が支配する側面もある以上、70%の勝率であっても「負け」に偏る事は当然ながらあり得ます。

そして、その確率が「最悪の方向」に偏ると考えた場合、10回連続、ひいては100回連続で「負けの目」を引く事も、決してゼロとは言い切れません。

故に「一度のトレードにおける損失」という意味でのリスクに加え、「負の方向に対する確率の偏り」という意味でのリスクを考慮し、

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資金をゼロにする事なく、長期的なプラス収支を実現し続けられるか

ここまでをしっかりと計算した上で、レバレッジの利用、および、その倍率を決定しなければならないという事です。

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そこまでの算段を立てた上でレバレッジを用いる事ができれば、それは文字通り、レバレッジの恩恵を受けられる事に繋がります。

現に、レバレッジ取引を前提に長期的な資産形成を実現させ続けている投資家・トレーダーは、最大限、リスクを織り込んだ上で「厳密なレバレッジルール」を設定しているという事です。

まとめ:FXにおけるレバレッジ取引の「本当の意味」とその危険性について

レバレッジが有する「特性」を単純に捉える限りでは、リスクとリターンを「同じ割合だけ引き上げるもの」という理解で何ら問題ありません。

ですが、ここまで具体例と共に示しました通り、ことFXにおけるレバレッジに関して言うと、実質的に「リスク」のみを格段に高めてしまいます。

表面的に見れば、同じ割合だけリスクとリターンが引き上げられているようでも、実質的な「勝敗」という観点で見た場合、レバレッジは「負ける確率だけを高めてしまう」という事です。

いずれにせよ、先立つ解説で挙げさせて頂いた「有効なトレードルール」であれば、下手にレバレッジを利用せずとも、理論上、着実に資産を構築できるはずです。

逆に、このような「有効なトレードルール」を確立している人が負けてしまうとすれば、往々にして、それはレバレッジを利用していた事が「決定的な敗因になっている」という事です。

レバレッジ取引と「プロスペクト理論」の関係性について

また、レバレッジを用いる人の中には、相場が思惑とは逆方向に延々と進行し続けた際、含み損を損失へと確定させたくない一心で、不用意にレバレッジを多用する人も少なくありません。

それがいわゆる「プロスペクト理論」に代表される、投資行動を前提とした人の「習性」に他ならないわけですが、相場の世界で負けている人は、往々にして、そのような心理状態に陥っている傾向にあります。

そもそも「なぜ思惑とは逆方向に動き続ける相場に対してレバレッジを掛けた取引を行うのか」を理解できない方も居るかも知れませんが、そのような不可解な行動含め、プロスペクト理論で全て説明する事が可能です。

以下の記事では、そのような負けている人が陥りやすい「心理動向」について言及しておりますので、宜しければ併せて参考にしてください。

> FXで負ける人に共通するプロスペクト理論と損失回避の心理について

以上、『FXにおけるレバレッジ取引の「本当の意味」とその危険性』について言及させて頂きました。

本記事があなたの投資活動に、何らかの形で寄与できれば、幸いでございます。

最後までご精読頂き、ありがとうございました。