株式相場や為替相場(FX)、仮想通貨(ビットコイン)などを筆頭とする「あらゆる相場」には、

タイトルが入ります。

レンジ相場(ボックス相場):一定の価格帯の中で上昇と下降を繰り返す相場
トレンド相場:一定の上昇と下降を伴いながら特定方向へ進行し続ける相場

という「2種類の相場」が存在し、順次、これら相場を繰り返しながら値動きを形成していく傾向にあります。

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レンジ相場 → トレンド相場 → レンジ相場

実情として、如何なる相場においても「レンジ相場とトレンド相場以外の値動きは存在しない」とされている為、多くの投資家・トレーダーは、主に「テクニカル分析」を拠り所としながら、各々の「視点」と「根拠」に基づく形で、これら相場を見極める「手立て」を確立しようとするわけです。

その上で、多くの投資家・トレーダーは、レンジ相場とトレンド相場を見極めるに当たって、何らかの「相場理論」を用いる傾向にあり、中でも「ダウ理論」と呼ばれる相場理論を拠り所にテクニカル分析を手掛けるような人は決して珍しくありません。

一言で言えば、ダウ理論は相場の値動きにおける規則的な「傾向(パターン)」を提唱した理論に他ならないわけですが、こと「レンジ相場」と「トレンド相場」に関して、ダウ理論の定義上「3つの相場局面」に分類できるという事が提唱されています。

・先行局面
→ 相場が高値圏、安値圏を推移している状況下で、一部の先行者がポジションを建て始める局面

・進行局面
→ トレンドが形成された事を確認した後続の投資家・トレーダーがポジションを建てていく局面

・後退局面
→ 相場が天井、または底を打った事を確認した投資家・トレーダーが利食いを実行していく局面

これらはダウ理論における「6つの原則」の内の1つ「トレンドを形成する値動きには段階に応じた3つの相場局面が伴う」という原則に基づく相場の「特性」として提唱されている理論であり、実際の相場は、投資家・トレーダーによりポジションが建てられてから決済されるまでの「一連の流れ」に応じて、

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レンジ相場(先行局面) → トレンド相場(進行局面) → レンジ相場(後退局面)

という「3つの相場局面」に基づくサイクルを繰り返しながら値動きを形成していくと考えられているわけです。

テクニカル分析の本質に則ったダウ理論の6つの原則

当記事で扱うダウ理論の原則もそうですが、全般的にダウ理論で提唱されている原則は、本質からズレた解説と共に広まってしまっているのが実情です。

ダウ理論は元々が英語圏で考案された理論である事から、その理論の詳細を綴った論文が英語で記されている為、その翻訳手の知識や技量によって若干解釈が異なる形で翻訳されている傾向にあるからです。

その上、表面的な解説をただ書き並べているようなサイトも少なくはありませんので、まさにそれらが相まって、ダウ理論を根底から押さえられている投資家・トレーダーは、実はそれほど多くはないという事です。

とは言え、ダウ理論は飽くまでも相場に則った理論である以上、「テクニカル(値動き)」の本質を前提として捉えていけば、そこまで理解が難しい理論でもありません。

以下の記事では、そんな在るべきテクニカルの本質に基づいた「ダウ理論の原則」を1つ1つ掘り下げて解説しておりますので、興味があれば、併せてご覧ください。

> ダウ理論とは。テクニカル分析の本質に則った6つの法則と事例

ダウ理論の基本原則に基づいたレンジ相場とトレンド相場の見極め方

故に、先立つ「先行局面」と「後退局面」は、

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先々のトレンドで利益獲得を狙う投資家・トレーダーの新規注文
先立つトレンドで利益を獲得した投資家・トレーダーの利確注文

が互いにぶつかり合う形で形成される「レンジ相場」となる傾向にある事から、これらは捉え方次第で同じ相場という見方もできると思います。

ただ、相場が先行局面にあるのか、はたまは後退局面にあるのかで、その後におけるトレンドの方向も全く異なる事になる為、これらは実質的に「全く異なる性質を持つ局面(レンジ)」に他なりません。

ある時点における相場が「先行局面」であったのなら、その後の相場は「トレンドに沿った形」で進行する事になりますし、

一方で、ある時点における相場が「後退局面」であれば、その後の相場は「トレンドとは逆行する形」で進行する事になるからです。

その上で、ここで言う後退局面は実質的に「先立つトレンドの調整局面(調整トレンド)」に先駆ける局面であり、ダウ理論では、この調整トレンドが「主要となるトレンド」を起点として、二次的、三次的に発生していくと考えられています。

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・主要トレンド(主要となる値動きを形成する長期トレンド)
・二次トレンド(主要トレンドの調整局面に当たる中期トレンド)
・三次トレンド(二次トレンドの調整局面に当たる短期トレンド)

これが俗に、ダウ理論における「6つの原則」の内の1つ「主要となるトレンドに内在する二次的、三次的な調整トレンドが発生する」という原則に基づく相場の「特性」として提唱されている理論であり、追って、三次トレンドの調整局面に当たる「四次トレンド」、また更に四次トレンドの調整局面に当たる「五次トレンド」…と、

現在進行形の値動きに至るまで、上位に位置するトレンドの「調整トレンド」は発生していく

と考えられているわけです。

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よって、ダウ理論を前提に相場を捉えた場合、実質的なトレンドは「1つ」しか存在しない事になります。

そのトレンドに内在する形で「調整トレンド」が次々と発生していく事から、相場の大部分は「調整トレンドで構成されている」という見方が成り立つからです。

ダウ理論に基づく相場は、主要トレンドを起点とした連鎖的な視点で動く

そして、ここで言う調整トレンドが発生する際は、先立つトレンドの「後退局面(レンジ相場)」が伴う傾向にある事から、その場合は、予め、先立つトレンドとは「逆のポジション」を建てておけば、追って発生する調整トレンドの恩恵に預かれる事になります。

逆に、それが先立つトレンドの「先行局面」であるならば、先々の相場は「先立つトレンド方向に対して継続的に値を伸ばし続ける動き」となる為、当然、そのトレンドに則ったポジションを建てておく事が正攻法となるはずです。

ダウ理論を踏まえた相場では、往々にして、トレンドの発生には「先立つ局面(先行局面、後退局面)」が伴う事から、その局面が「どちらなのか」を見極められれば、少なくとも、先々のトレンド相場に逆行するポイントでポジションを建てずに済むという事です。

ただ、ダウ理論上、相場は連鎖的な調整トレンドが次々に発生していくとされている為、どの段階の(調整)トレンドを狙うのかによっても、レンジ相場とトレンド相場の捉え方は大きく変わってくる事になります。

例えば「5分足」で捉えた場合の「レンジ相場(先行局面、後退局面)」と「トレンド相場(進行局面)」は、

より広い視点である「15分足」で捉えた場合、上位に位置するトレンドの「先行局面」であった事がお分かり頂けるはずです。

更に、広い視点である「1時間足」で捉えた場合、先立つ15分足で捉えた「レンジ相場(先行局面、後退局面)」と「トレンド相場(進行局面)」も、結局の所、より上位に位置するトレンドの「先行局面」であった事がお分かり頂けると思います。

従って、ダウ理論を拠り所とする多くの投資家・トレーダーは、自身の投資・トレードスタイル等を踏まえて『各々が手掛ける時間軸に応じたレンジ相場とトレンド相場』を捉えているのが実情です。

仮に、長期的な視点で投資・トレードを手掛けていく場合、ノイズと言って差し支えないレベルの短期的なレンジ相場とトレンド相場を、敢えて捉える必要はないからです。

加えて、彼らは「主要トレンド」と「調整トレンド」に関しても、上記と同様の視点で捉えている傾向にあり、例えば、数日〜数週間の取引を前提とした「スイングトレード」を手掛ける投資家・トレーダーは、

主要トレンド(数ヶ月単位のトレンド)
二次トレンド(数週間単位の調整トレンド)
三次トレンド(数日単位の調整トレンド)

といった視点で相場を捉えている傾向にありますし、数十分〜数時間の取引を前提とした「デイトレード」を手掛ける投資家・トレーダーの場合、

主要トレンド(数週間単位のトレンド)
二次トレンド(数日単位の調整トレンド)
三次トレンド(数時間単位の調整トレンド)

数秒〜数分の取引を前提とした「スキャルピングトレード」を手掛ける投資家・トレーダーの場合ですと、

主要トレンド(数日単位のトレンド)
二次トレンド(数時間単位の調整トレンド)
三次トレンド(数分単位の調整トレンド)

といった形で、適宜、各々が手掛ける時間軸に応じた「主要トレンド」と「調整トレンド」を捉えている傾向にあります。

時間軸に応じて相場そのものの捉え方も必然的に変わる事になる以上、レンジ相場とトレンド相場を見極めていく上では、自らが「どの時間軸を前提に投資・トレードを手掛けるか」を先立って定めなければならないという事です。

個々の調整トレンドは上位トレンドの「範疇」で推移する。

とは言え、どの時間軸を前提に投資・トレードを手掛けるかが定まれば、ダウ理論に基づく「レンジ相場(先行局面、後退局面)」と「トレンド相場(進行局面)」の見極めも、現実的に、捉える事ができるようになります。

要は、その時間軸で捉えられる「現在進行形の値動きを形成している調整トレンドの推移」を、単に見定めていけば良いだけだからです。

1分足を前提に投資・トレードを手掛けるなら「1分足で捉えられる現在進行形の調整トレンド」を、1時間足であれば「1時間足で捉えられる現在進行形の調整トレンド」を見定めていけば良いという事です。

その上で、ダウ理論で提唱される「主要トレンドを起点として、連鎖的に調整トレンドが発生していく」という相場の特性上、個々の調整トレンドは「上位に位置する(調整)トレンド」の範疇で推移していく傾向にあります。

言わば、個々の調整トレンドの「発生」と「消滅」は、上位に位置するトレンドにより「決定付けられる(傾向にある)」という事です。

その前提の上で、現在進行形の値動きを形成している「最も下位に位置する調整トレンド」は、飽くまで、その「上位に位置する(調整)トレンド」の調整トレンドである事から、

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最も下位に位置する調整トレンドの「発生」と「消滅」を決定付けるのは、その上位に位置する(調整)トレンド

という結論に行き着きます。

よって、時間軸に応じた「現在進行形の調整トレンド」と「上位に位置する(調整)トレンド」の位置関係を捉える事ができれば、自ずと、

タイトルが入ります。

・レンジ相場が発生する可能性が高いポイント
・トレンド相場が終わる可能性が高いポイント

なども見えてくるようになるという事です。

また、それは同時に、レンジ相場が発生した際における「局面(先行局面、後退局面)」の見極めも高い精度で行える事に繋がります。

上位に位置するトレンドを起点に現在進行形の調整トレンドを捉えれば、その調整トレンドの終わりが『上位トレンドの「先行局面」(調整トレンドの「後退局面」)』になる可能性が高いですし、

その上位トレンドの「更に上位に位置するトレンド」に相場が到達したポイントが『上位トレンドの「後退局面」(更に上位のトレンドの「先行局面」)』になる可能性が高いと考えられるからです。

まとめ:ダウ理論の基本原則に基づいたレンジ相場とトレンド相場の見極め方

結局の所、ダウ理論に基づく相場は、主要トレンドを起点とした連鎖的な調整トレンドの「発生」と「消滅」によって動き続けている事から、ダウ理論を拠り所に相場を攻略する上では、調整トレンドの発生と消滅のポイントを上位トレンドを基に見極めていく事に尽きると思います。

その上で、調整トレンドの発生と消滅のポイントにおいて発生する相場が「先行局面」なのか、「後退局面」なのかが見極められれば、現実として、「勝てるべくして勝つ投資・トレード」も夢ではないわけです。

もちろん、ここまで言及してきた諸々の解説然り、実際の相場と称して掲載した画像などは、言ってしまえば「過去の相場を対象とした情報」に過ぎないので、私の都合が良いように「後付けした解説」と思われる方もいらっしゃると思います。

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「トレンドを形成する値動きには段階に応じた3つの相場局面が伴う」

とは言え、ダウ理論における上記の原則は、実際の相場に照らし合わせても非常に信憑性が高い原則である事に変わりありません。

加えて、この原則に基づく理論は、何もチャールズ・ダウが研究の対象としていた株式相場に限らず、為替相場(FX)、仮想通貨などの「あらゆる相場」においても顕著に現れる一種の規則性でもあります。

故に、この原則は実際の相場に則している事はもとより、特定の相場にも限定されない「非常に普遍性が高い原則」であると考えられるわけです。

またダウ理論では、ここで言及した原則以外に「5つ」の原則が提唱されており、それら1つ1つの原則にも「相応の有効性」が備わっています。

以下の記事では、そんな在るべきテクニカルの本質に基づいた「ダウ理論の原則」を1つ1つ掘り下げて解説しておりますので、興味があれば、併せてご覧ください。

> ダウ理論とは。テクニカル分析の本質に則った6つの法則と事例

タイトルが入ります。

「主要となるトレンドに内在する二次的、三次的な調整トレンドが発生する」

また、本記事で言及した上記の原則についても、別途、深く掘り下げた記事をご用意しておりますので、良ければ、併せてお読みください。

> ダウ理論におけるトレンドの見極め方と勝てるエントリー手法の考察

以上、『ダウ理論の基本原則に基づいたレンジ相場とトレンド相場の見極め方』というテーマで言及させて頂きました。

最後までご精読頂き、ありがとうございます。