相場の世界を「資産構築の為の道筋」とするからには、それに先立つ形で「相場を攻略する為の有効な基準(ルール)」を携える必要があると思います。
事実、そこを疎かにした投資家・トレーダーが泣きを見る結果に行き着く事は、相場の世界における1つの「お決まり事」と言っても過言ではありません。
故に、それを回避する為にも、先立つ形で、
エントリールール = どのタイミングで相場に資金を投じるのか
利確ルール = どこまで相場が進行すれば利益を確定するのか
損切りルール = どこまで相場が進行すれば損失を確定するのか
これらを確立する事が、この世界を渡り歩く上での「定石(セオリー)」とされているわけです。
ただ、多くの投資家・トレーダーは、ここでいう「セオリー」を全て十分な形で確立できていないのが実情で、中でも「エントリールール」の構築にばかり心血を注ぎ、それ以外の「基準(利確、損切りルール)」の構築は疎かにしてしまっている傾向にあります。
さして、その基準を突き詰める事もなく、
「相場がこの価格まで進んだら利確」
「資金がこれくらい減ったら損切り」
という程度の言ってしまえば「適当」な基準を単に設けているような人も少なくはないという事です。
現実として、エントリーポイントの精度は幾らでも高められる余地がありますので、それこそ『聖杯』と呼ばれるような「完璧なエントリー基準(資金を投じた瞬間から確実に思惑通りの方向に相場が進行する基準)」を作れるのでしたら、それに越した事はありません。
ですが先立つエントリールールの精度を「極限」にまで高め上げられたとしても、時として相場は思惑とは逆方向に動き続ける局面がある以上、その精度を100%完璧なものにする事はまず不可能だと思います。
であれば、運用資金を守る為にも、そして、一時的に生じた「含み益」を確固たる利益とする為にも、有効な利確、損切りルールを確立する事は賢明な判断であるはずです。
その上で、本日は一方の「利確ルール」について、「利確タイミングの目安と有効な利確基準(ルール)を確立する為の視点」というテーマでお届けしていきたいと思います。
もう一方の「損切りルール」については、以下の記事で具体例を挙げながら詳しく言及しておりますので、併せて参考にしてください。
含み益に対する考え方と有効な利確基準(ルール)を確立する為の視点
一説では、負けている投資家・トレーダーの大半が、小さく勝って、最終的に大きく負ける、いわゆる「コツコツドカン」が原因で負けていると言われており、それ故、その「逆の状況(小さく負けて、大きく勝つ)」を作り出すべく、
「含み益はどこまでも伸ばさなければならない」
という考え方が、この相場の世界における「常識」と考えられています。
現に、この考え方は投資関連の書籍やネット上の情報などでも当然のように言及されている事から、最大限、含み益を伸ばす事が勝つべくして勝つ「唯一の道筋」と考えている人も少なくないようです。
ただ実際は、含み益を伸ばすという方向性のみが唯一の勝ち筋であるとは限りません。
結局の所、投資・トレードでは、最終的に収支をプラスにできている状況こそ、紛れもなく「勝てている状況に他ならない」という意味で、それを達成する手立ては決して1つではないからです。
それこそ、一般的に悪手とされる「コツコツドカン」を前提としたトレードであっても、時に直面するドカン負け以上の「頻度」と「比率」でコツコツ勝つ事ができるのであれば、最終的な合計損益はプラスに寄っていくはずですので、それは紛れもなく「勝てている状況」という事になります。
もちろん、常識視される「含み益を伸ばし続ける方向性」であっても、最終的なトータル収支をプラスに持っていく事ができるのであれば、当然、それも勝つ為の「1つの手立て」に他なりません。
つまり、投資・トレードで成果を追求する上では、その過程に当たる「道筋(勝ち方、負け方)」はそこまで重要ではなく、何より「最終的な収支(損益)」がプラスになっている状況こそが重要なんです。
故に、その最終的な収支をプラスに持っていく為にも、長期的な視点を前提とした上で、
・どの程度の利益(勝ち)を見込むか
・どの程度の損失(負け)を見込むか
という「バランス」が極めて重要であり、そのバランスを踏まえて「利益を残せるトレードルール」を確立できるのであれば、どのような手立てでも問題はないという事です。
含み益を伸ばし続ける道筋がイコール、勝ち筋とは限らない
確かに、最終的な収支をプラスにする為にも、利確によって生じる「利益」と損切りによって生じる「損失」の比率が「前者(利益)」に偏っている程、大きなリターンを手中にできますので、それが理想である事に違いありません。
だからこそ「損切り」は、可能な限り、損失を最小限にできるルールを追求するべきであり、一方の「利確」は、可能な限り、利益を最大限にできるルールを追求するべきなんです。
ただ現実問題、相場は、常に一定の強弱を伴って上昇・下降を繰り返す性質がある事から、エントリー後に生じた「含み益」をどこまで伸ばすか次第で、利益の最大化を図るハードル自体が大きく変わる事になります。
それこそ、現実的に到達可能な範囲を「利確ライン」と設定した場合、それは確率論の上でも、利確ラインに到達する余地は「十分ある」という事になりますが、一度、その利確ラインを到達可能な「範囲外」に設定したならば、当然、そこまでに相場が到達するかどうかは「分からない」という事になるからです。
もちろん、敢えて、到達可能な「範囲外」に利確ラインを置く必要はありませんので、その「分からない」という不確実性を避ける為にも、利確ラインを現実的に到達可能な位置に設定する事は何ら問題ありません。
ですが、利益の最大化を図るという事を「表面的」に捉えるならば、それは往々にして、到達可能な「範囲外」に利確ラインを置く事を意味します。
ただ現実として、そのような「到達できるか分からないライン」に相場が届くまでに、相場が反転する事も考えられますので、それは結果として、一時的に生じていた「含み益」が『幻の利益』に終わる事に繋がりかねないんです。
にも拘らず、利益の最大化を目指す投資家・トレーダーの中には、ここで言う「利益の最大化(含み益を伸ばす)」を表面的に捉えている方も多く、それ故、その「幻の利益に終わる可能性」を現実のものとしてしまっている傾向にあります。
つまり、利益の最大化を目指す方の多くは、実際のところ「小さく負けながら、大きくも勝てていないのが実情」だという事です。
含み益を伸ばし続ける方向性は、往々にして「幻の利益」に終わってしまう
故に、一般的に囁かれる「利益を最大化すべき(含み益を伸ばすべき)」という風潮は、必ずしも、
「可能な限り、含み益を伸ばし続ける事を意味しているわけではない」
と捉えるべきです。
もちろん、時に相場は延々と進行し続ける局面がありますので、そのような局面の恩恵に預かれれば、結果として、含み益を伸ばし続ける判断が功を奏した事になります。
ですが、そのような含み益を伸ばし続けるようなやり方では、まず高い確率と頻度で、その含み益は「幻の利益」となって消えていくケースが大半となるはずであり、長期的な合計損益の観点では明らかに「不利」となってしまうはずです。
一時の利益と長期的な損益を考慮する視点を持たず、ただ漠然と「含み益は伸ばし続けるものだ」という視点で相場と向き合うのは、言ってしまえば、ただの「ギャンブル」と変わらないと思います。
よって、有効な利確ルールを構築する為には、先立つ「損失」と「利益」のバランスを踏まえた上で、相応の「根拠」と「基準」を基に導き出すべきというのが私の考えであり、最終的な合計損益がプラスになるのであれば、含み益を伸ばしても伸ばさなくてもどちらでも問題ないという事です。
含み損に対する考え方と有効な損切り基準(ルール)を確立する為の視点
そして、その考え方は利確に留まらず、「損切り」に対しても同様と考えています。
一般的に、損切りは「早ければ早いほど良い」と囁かれていますが、如何せん、それを有りのままの意味で捉えてしまうと、往々にして「負け越してしまう」のが実情です。
以下の記事では、その理由含め、有効な損切り基準を導き出す視点について詳しく言及しておりますので、良ければ、併せてご参考ください。
以上、『利確タイミングの目安と有効な利確基準(ルール)を確立する為の視点』について言及させて頂きました。
また、本記事に関連した記事として、以下のようなものもご用意しておりますので、興味があれば、併せてご参照ください。
> 損切り,利確の適正比率を左右する勝率とリスクリワードの関係性とは
本記事があなたの投資活動に、何らかの形で寄与できれば、幸いでございます。
最後までご精読頂き、ありがとうございました。