相場の世界で身を立てていくに当たって、相場の先行きを予測する為の「何らかの基準(ルール)」を確立する事は不可欠だと思いますし、同時に、思惑と反した値動きに対応する為の基準を確立する事も不可欠になると思います。
9割以上の投資家・トレーダーが何らかの形で「負け越している」、また「退場を余儀なくされている」と言われているこの世界で、何1つとして、そういった基準を有さず、相場の世界へ身を投じるという事は「裸一貫で戦場に繰り出す事と同義」と言っても過言ではありません。
当然、相場には「上昇」と「下降」以外の値動きが存在しない為、単純な確率論の上で、上がるか下がるかは、どちらも「50%」という事になります。
ですので、ギャンブル的な投資・トレードを行い続けたとしても、短期的には勝ち星を重ね続けられる余地は有るかもしれません。
ただ、確率は最終的に収束していくのが道理ですので、50%の確率で勝てる投資・トレードは、結局のところ「長い目で見て、勝ち越す事ができない(期待収支はトントン)」という事になってしまいます。
従って、最終的な期待収支をプラスにする為にも、相場と相対する上での「何らかの有効な基準」は不可欠になってくるという事です。
だからこそ、多くの投資家・トレーダーは、相場の世界を渡り歩く為の「何らかの基準」を、彼らなりの『視点』と『根拠』に基づく形で、日々、模索しているわけです。
ただ、それでも尚、大半の投資家・トレーダーが「負け越している」という事実に変わりありません。
その一方で、長期的に勝ち越している投資家・トレーダーが存在するのも事実であり、彼らも同様、彼らなりの『視点』と『根拠』に基づく形で確立した「何らかの有効な基準」を拠り所として『勝てている』と考えられます。
そんな「同様の目的」を成し得る上で『負けている側』と『勝てている側』が生み出されてしまう現実が存在する以上、そこには双方の結果を左右する「根本的な相違」があると見て間違いありません。
よって、本日は『勝てている側、負けている側、その双方に見られる根本的な相違』に焦点を当てながら、勝ち越す投資家・トレーダーの「視点」に迫っていきたいと思います。
もちろん、勝てている側、負けている側、彼ら双方が拠り所とする投資・トレード基準における「精度の差」が、最終的な勝敗を決定付ける要因と考えて間違い無いと思います。
ただ、その精度向上を図っていく上で、それ自体が「比較的、達成しやすいか」、はたまた「困難を極めるか」は、本記事で言及する「視点の有無」に大きく左右されると言っても過言ではありません。
勝てている投資家・トレーダーは、有効な基準を確立する上で、まさに「達成しやすい道筋」を選択している傾向にあるという事です。
その上で、負けている側に位置する大半の投資家・トレーダーは、自ら「負けるべくして負ける視点」を携え、そして「茨の道」を進んで歩んでしまっているのが実情なんです。
故に、本記事で言及する事は、これから投資・トレードの世界を渡り歩く上で、極めて「重要」なものであり、この世界で思うような成果を上げられていない人にとっては、活路を見出すきっかけになるかもしれません。
投資・トレードで勝つ為、稼ぐ為に不可欠な視点は「負けない事」
相場の世界では、有効な基準を確立するに当たって、『損失を小さく抑えながら、利益をでき得る限り伸ばす(損小利大)』といった事が「当然の常識」として広く認識されている傾向にあり、それ故、多くの投資家・トレーダーが、まさに、その視点に基づく形で相場を捉えようとしているのが実情です。
逆の視点(損大利小)に基づく形で投資・トレードを行なってしまうと、それこそ、小さく積み上げてきた利益を「1度の損失」で吹き飛ばしてしまいかねない為、「損小利大」を前提とする視点で相場を捉える事が「正」だとされているわけです。
だからこそ、大半の投資家・トレーダーは、1度の機会で最大限のリターンを手中に収める為に、いわゆる「トレンド相場(進行局面)」と呼ばれる『大きな値動きを伴う相場』を的確に捉える基準を確立しようとする傾向にあります。
相場の値動きを形成する「3つの相場段階」について
「ダウ理論」と呼ばれる数ある相場理論の1つにおいて、相場を形成する「値動き」は、
先行局面:値動きが高値、安値圏で推移し、一部の投資家のみがポジションを建てる相場
進行局面:トレンドが形成され始め、後続の投資家が続々とポジションを建てていく相場
後退局面:トレンドが天井、もしくは底を打つ事で、投資家の利食いが発生していく相場
という「3つの相場局面」に大別されており、これら3つの局面を前提とする形で、
「レンジ相場(先行局面) → トレンド相場(進行局面) → レンジ相場(後退局面)」
というサイクルを順次繰り返し、実際の相場は形成されていくと言われています。
> ダウ理論とは。テクニカル分析の本質に則った6つの法則と事例
これはまさに、投資家・トレーダーによりポジションが建てられてから、そのポジションが決済されるまでの「一連の流れ」を段階に応じて区分けられたものであり、その「3つの相場段階」に則って相場が動いている事は、実際のチャートをご覧になって頂いてもお分かり頂けるはずです。
そして、相場は常に「3つの相場段階」を順次繰り返す形で推移していく傾向にある事から、これを押さえておく事は、必然的に「値動きの流れを読み取れる事」に繋がっていきます。
つまり、負けない投資・トレードの実現にも直結するという事です。
以下の記事では、そんな「3つの相場段階」について、更に掘り下げて解説しておりますので、興味があれば、併せてお読みください。
故に 多くの投資家・トレーダーは、どうにか「進行相場の値動き」と「自身の予測基準」を一致させた上で、如何に「利益を大きくできるか」を追求していく傾向にあるわけです。
言うなれば、彼らは「勝つ事」、「稼ぐ事」を最も重要な視点と捉え、その視点に基づく『攻めの基準作り』に心血を注いでいるという事です。
ただ、現実問題、「勝つ為の基準」、ひいては「予測を的中させる為の基準」のようなものを追い求めてしまうと、大抵の場合、上手くいかない傾向にあります。
ただでさえ「相場が動意付くポイント」を的確に予測する事は難しいですし、そこに輪を掛ける形で「どこまで相場が進行するか」を的確に見極めるとなると、そのハードルは非常に高くなってしまうのが実情だからです。
とは言え、相場は飽くまでも確率論の範疇で変動する側面もある為、短期的には連勝を実現する事もできるかもしれませんが、それを数ヶ月、数年、ひいては「相場から身を引くまで」となると、やはり、そこには相応の有効性が備わった「勝つ為の基準」が不可欠となる以上、
・どこで相場が動意付くのか
・どこまで相場が進行するのか
これらを「長期的」に捉え続けられる有効な基準を確立する事は、そう容易い事ではないと思います。
大半の投資家・トレーダーが、そのような「勝てる基準」を追求した上で『負けている』という現実が、まさに、その事を物語っているように思えてならないんです。
いくら有効な基準を確立できた気になったとしても、それが「生半可な基準」でしかなかったのなら、長い目で見て「使い物にならない」という事です。
「勝つ事」、「稼ぐ事」を視点に、攻めの基準を形作っていく事が「不可能」というつもりはなく、実際、そういった基準を確立した上で、長期的に勝ち越している投資家・トレーダーも、中にはいらっしゃると思います。
とは言え、そのような基準を有効性が伴う形で確立する事は、非常に困難を極める事に変わりありません。
よって、そういった「攻めの基準」を確立するのであれば、その道筋が「茨の道」になり得る事も覚悟しなければならないという事です。
勝つ事を目的とする道筋は、「茨の道」になり得るという事です。
また、相場は時として、思惑とは違う方向に「延々」と進行し続ける局面もある事から、そのような相場に直面したが最後、これまでに得た利益の大半、もしくは、全てを「1度の負け」で吹き飛ばしてしまう恐れがあります。
実際、勝つ事、利益を伸ばし続ける事に拘るあまり、そのような相場局面で「最悪の事態」を招いてしまう投資家・トレーダーも決して珍しくありません。
だからこそ、勝つ事、利益を伸ばし続ける事を目的とするなら、加えて「損失を最小限に抑える事」も織り込まなければならないんです。
仮に、何十回、何百回と連勝するような「勝てる基準」を確立できたとしても、1度の負けで「再起を図れないレベルの損失」を被ってしまう可能性がある以上、それを回避する基準も併せて確立しなければならないという事です。
ただ、私自身の経験則から言っても、これらを「有効な形」で「同時」に満たす事は、なかなか一筋縄では行かない傾向にあります。
確かに、それら基準を有効性が伴う形で確立できれば、文字通り「損小利大の基準」という事になる為、そのような基準を作れるに越した事はありません。
ですが、相場は常に一定の強弱を伴いながら「上昇」と「下降」を繰り返す傾向にある為、仮に、早い段階で「損切り」を実行したとしても、その後の相場で値が反転する事は十分に有り得ます。
また、上手く「進行相場」の恩恵に預かった段階で「利確(利食い)」を実行したとしても、やはり、相場は「上昇・下降」を伴いながら進行していく傾向にあるので、そこから更に値を伸ばし続ける事も普通に起こり得るんです。
つまり、生半可に「勝てる基準」と「損失を最小限に抑える基準」を同時に満たそうとすると、
・利益転換を狙えるはずの含み損を、みすみす「損失」として確定してしまう
・更なる利益を追求できるはずの「機会」を、みすみす取り逃がしてしまう
このような状況に陥ってしまう可能性があるという事です。
ただでさえ、勝てる基準を確立する事は非常にハードルが高いにも拘らず、更に輪を掛けて、損失を抑える基準を有効な形で確立しようものなら、不可能とは言わないまでも、それは「越えようにも超え難いハードル」になってしまうと思います。
そんな実情を知る由もなく、損少利大を実現する為の「困難な道筋」を辿ってしまった結果として、多くの投資家・トレーダーが「負けている」と思えてならないんです。
まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」という状況に行き着く「道筋」が、この相場の世界において絶対視され、その結果として、多くの人が「負け越している」という事です。
もちろん、「損少利大」というアプローチ自体は、この相場の世界で成功を収める為の「1つの形」に他なりません。
だからと言って、誰もがそれを実現できるほど「生易しいものではない」という事も併せて認識しておくべきだと思います。
「負けない事」が勝つ為(稼ぐ為)の『最短の道筋』
ただ、先立つ解説でも言及しました通り、相場は時として、思惑とは違う方向に「延々」と進行していく局面もある以上、損失を最小限に抑える基準は、まず何より『有効性を追求しなければならないもの』だと思います。
投資・トレードにとって、資金は「命」ですので、致命的な損失を被るという事は、命の大部分、もしくは、全てを「無に帰する事に等しい行為」だからです。
また、歴代の有名投資家も、口を揃えて「再起を図れないレベルの損失はいかなる場合も回避すべき」と言及されていますので、これは相場の世界における1つの「真理」に当たると思います。
故に、いかなる場合も「損失を最小限に抑える手立て」は必要不可欠となるものの、一方、最終的に「勝ち越す事」を目的とする場合、先立つ「勝つ為の基準」、また「予測を的中させる為の基準」のようなものは、実のところ、そこまで重要ではありません。
敢えて、相場の動きを高い精度で予測せずとも、「致命的な損失を回避し」、そして「最終的に損益が少しでもプラスになる投資・トレード」を徹底すれば、それは結果として、勝てる投資・トレードを実現できてしまうからです。
要は、
・再起を図れないほど、致命的な損失を生み出してしまう状況
・損益をプラスにできないほど、損失を重ね続けてしまう状況
このような状況を徹底して回避できれば、結果として「利益(勝つ事)」を追求せずとも、最終的な『勝ち(利益)』に繋げられるという事です。
言うなれば、それは「負けない事」であり、そのような視点で『負けない為の基準』を確立できれば、その基準に基づく投資・トレードを徹底する事で、自ずと「利益」が次々と転がってくるようになるんです。
少なくとも、「勝つ事」に視点を置いた「相場の動きをピンポイントで予測する為の基準」や「どこまで相場が進行するかを予測する為の基準」を確立していくよりも、
・再起を図れないレベルの損失を徹底的に回避できる基準
・適度に損失を許容しながら、損益をプラスにできる基準
これら「負けない事」に視点を置いた『負けない為の基準』を確立していく方がよっぽど現実的なはずです。
何より、相場の動きを手に取るように予測できる必要がないからです。
もちろん、負けない為の有効な基準を確立する事が「簡単」だとは言いませんが、越え難いハードルとも言える勝つ為の基準を確立するより、遥かに現実的なハードル(= 越えようと思えば越えられるハードル)だと思います。
そして、当の私自身、今でこそ、ある程度の精度で「有効な投資・トレード基準」を確立するに至っていますが、それは「勝つ為の基準」ではなく「負けない為の基準」を徹底して突き詰めてきたからに他なりません。
まさに「勝つ事」に視点を置かず、ただひたすら「負けない事」を追求した結果として、「勝ち越せる(稼げる)ようになっている」という事です。
まとめ:投資・トレードで勝つ為、稼ぐ為に不可欠な視点は「負けない事」
ここまでの話を踏まえて、多くの投資家・トレーダーが躍起になって追求する「勝つ為の基準」を確立する事よりも、
・再起を図れないレベルの損失を徹底的に回避できる基準
・適度に損失を許容しながら、損益をプラスにできる基準
これら「負けない事」に視点を置いた『負けない為の基準』を確立していく方が、その確立に至るまでの「ハードルの高さ」という観点で遥かに賢明だと思います。
確かに、勝つ為の基準を確立した上で、勝てるべくして勝てている投資家・トレーダーも存在しますが、実情として、勝つ為の基準を確立する道筋は困難を極める傾向にある以上、勝てている投資家・トレーダーの中には「負けない為の基準」に比重を置く人も決して少なくはありません。
その上、いくら「勝つ為の基準」で何十回、何百回と勝ち星を重ね続けられたとしても、再起を図れないレベルの致命的な損失を1度でも生み出してしまった時点で相場の世界では「負け」となってしまう為、まさに「相場から身を引くまで徹底して負けない基準」が不可欠になるんです。
その意味でも「負けない事」に比重を置いた基準を確立する事には、大変、大きな「意義」があると思います。
「テクニカル分析」の観点から構築する「負けない為の基準」に先立って。
かねてより当ブログでは、統計的、確率的な視点で過去の相場(値動き)から何らかの規則性を分析する「テクニカル分析」のみを拠り所とした相場分析の考え方や、その術を発信し続けてきました(もちろん、それは現在進行形でも発信し続けています)。
従って、テクニカル分析の観点から本記事で言及しました「負けない為の基準」を構築する際の考え方や方法論などをご紹介しており、その先駆けとして、以下のような記事をご用意しております。
> テクニカル分析の本質は「相場心理」と「統計・確率」に基づく
テクニカル分析を拠り所とする投資家・トレーダーの多くは、そもそも「在るべきテクニカル分析」とはズレた視点でそれを捉えている傾向にあり、それ故「負けるべくして負けている」のが実情です。
よって、テクニカル分析を拠り所として相場の世界を渡り歩くのであれば、まずは「テクニカル分析の本質」を正しく捉えるべきであり、そこを出発点とするからこそ、先々の相場(値動き)を然るべき視点で捉える事ができるようになると思います。
上記の記事では、まさに「テクニカル分析の本質」というものに言及しておりますので、興味があれば、引き続き、お読み頂けると幸いです。
以上、『投資・トレードで勝つ為、稼ぐ為に不可欠な視点は「負けない事」』について言及させて頂きました。
本記事があなたの投資活動に、何らかの形で寄与できれば、幸いでございます。
最後までご精読頂き、ありがとうございました。