相場の世界を捉える上で、一般的に「常識(原則)」とされている事の1つが、『相場は、投資家・トレーダーの「売り」と「買い」における、双方の合意(取引)が連鎖的に成立した結果として動く』というものであり、その原則を前提として、一般的に、

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ファンダメンタル」:対象となる銘柄(企業、通貨、コモディティなど)に関連、そして、影響を及ぼす内部、外部情報
テクニカル」:対象となる銘柄(企業、通貨、コモディティなど)に基づく過去から現在までの値動きそのものの情報

これらに基づいた分析、俗に「ファンダメンタル分析」「テクニカル分析」を、限りなく全ての投資家・トレーダーが、それらの内、いずれか、もしくは両方の視点に基づく形で行なっているとされています。

実質的に、ファンダメンタルとテクニカル以外に相場を捉える上での判断材料は「ほぼ無い」に等しいのが実情である為、上記の解釈は、そのままの意味で捉えて頂いて問題ありません。

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ファンダメンタルとテクニカル、それら双方に基づく形で「なぜ相場が動くのか」、この点を以下の記事にて詳しく言及しております。

可能な限り、相場の本質に迫った内容として仕上げておりますので、興味があれば、併せてご参考ください。

> なぜ相場は動くのか、誰が相場を動かすのか

また、その原則とは別の観点で、投資対象の現在価値(価格)が幾らであろうとも、最終的には、その投資対象が持つ本質的な価値(価格)に相場が到達する傾向にある』という相場の性質から、相場は最終的に「本質的価値」に近づいていくという見解も相場原則の1つだとされています。

そして、それら前提をご認識頂いた上で、「本質的価値」を様々な手法で算出し、投資判断を下す分析手法が、他でもない、ファンダメンタル分析であり、そのファンダメンタル分析に基づく投資で最も成功を収めている投資家が、世界的にも有名な「ウォーレン・バフェット」という人物に他なりません。

現に、ウォーレン・バフェット本人も、「銘柄(彼の場合、主に「株式」)が持つ本来の価値(本質的価値)を、ファンダメンタル分析により、合理的に導き出した上で投資判断を下す」という投資スタイルを確立している事から、ファンダメンタル分析が投資対象の「本質的価値」を算出できる1つの「術」に他ならないと思います。

対して、その本質的価値を「算出できない局面」、つまり、ファンダメンタル分析では捉える事ができない値動きは、まさに「テクニカル分析」の領域だと考えて差し支えありません。

先立つ解説でも触れました通り、ファンダメンタルとテクニカル以外に相場を捉える上での判断材料は「ほぼ無い」に等しいのが実情だからです。

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数秒、数分、数時間といった短期間の間に、その投資対象の本質的な「価値」や、その価値を捉える「投資家の視点」などが劇的に変わる余地は無いと思われる為、基本的に、そういった値動きは、本質的価値に基づかない視点(テクニカルな視点)が形成していると考えるのが妥当だと思います。

故に、相場は、本質的価値を捉える「ファンダメンタル分析に基づいた値動き」と、それ以外の「テクニカル分析に基づいた値動き」により支配されていると考えられる事から、ファンダメンタルによって動く相場ほど、テクニカルの影響が小さく、また、テクニカルによって動く相場ほど、ファンダメンタルの影響が小さいという1つの「見解」を導き出せるわけです。

ファンダメンタル分析が有効な相場、テクニカル分析が有効な相場

その見解を踏まえた上で、当ブログのタイトルからもお分かり頂ける通り、私の場合は、テクニカル分析を拠り所とする形で相場分析を進めている関係上、「テクニカル分析が通用する相場(テクニカル分析との相性が良い相場)」と「通用しない相場(相性が悪い相場)」が『(恐らく)あるはず』という仮説を前提に、これまで検証と考察を重ねてきました。

そして、その検証と考察の末、株式相場」ほど、ファンダメンタル分析との相性が良く(つまり、テクニカル分析で攻略できる余地が小さい)仮想通貨(主として、ビットコイン)」ほど、テクニカル分析との相性が良い(つまり、ファンダメンタル分析で攻略できる余地が小さい)という結論に行き着いたわけです。

ファンダメンタル分析との親和性が最も高い「株式相場」

その上で、まず「株式相場」が、ファンダメンタル分析との相性が良いと判断したのは、『合理的、客観的な視点で本質的価値(価格)を算出できる』という点に起因します。

冒頭でも、ファンダメンタル分析は、その投資対象が持つ「本質的価値」を合理的に算出する為の方法に他ならないと言及させて頂きました。

株式の場合、その発行元となる「会社」が保有している合計資産や、その時点における会社の営業損益、純利益などの推移に基づき、現在の在るべき価格である『理論株価』を合理的、そして、客観的に算出できる傾向にあり、これはまさに、ファンダメンタル分析の有効性が「そのまま当て嵌まる」と言っても過言ではありません。

その上、冒頭でも紹介しました「ウォーレン・バフェット」に関しても、その基本とする投資対象を「株式(相場)」に絞り込んだ上でファンダメンタル分析を行ない、その結果として、世界一の投資家になったとされている以上、実際的な観点から言っても、「株式相場は、ファンダメンタル分析と最も相性が良い」と判断して問題ないと思います。

そして、実際の株価レートにおいても、ある程度は「理論株価」を水準に推移する傾向にあり、その価格を著しく逸脱するような事はまずありません。

よって、株価レートが大きく変動する時は、「何らかの突発的ファンダメンタル要因(新製品発表、会社の不祥事など)」が発生する事により、それらに基づく理論株価が大きく見直された結果として変動するものと考えられます。

故に、そのような突発的ファンダメンタル要因が発生する場合も、株式相場においては、テクニカル分析の有効性は薄れる傾向にある為、原則として、『株式相場は、ファンダメンタルに基づく形で変動する』と結論付けられるわけです。

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もちろん、株式相場も「テクニカル分析に基づく投資家・トレーダーの売買」が介入する余地は十分にありますので、完全にテクニカル分析が通用しないわけではありません。

ただ、株式相場における「テクニカル分析」は、飽くまでも、「ファンダメンタルに基づく理論株価が前提となる中で有効性を発揮できるもの」という範疇に納まる傾向にある為、その基本的な価格変動は、概ね、『ファンダメンタルに支配されている』と考えられるわけです。

テクニカル分析との親和性が最も高い「仮想通貨」

一方で、仮想通貨に代表される「ビットコイン」の場合、株式相場とは全く逆の評価を下しており、端的に、『ファンダメンタル分析はほぼ通用しないもの』だと認識しています。

その率直な理由は、本質的価値を算出するに当たって、ビットコインの場合、何をファンダメンタル要因とすべきかが根本的に不透明である事に起因しており、それ故に、株式のような「理論株価(理論価格)」の算出が、ほぼ不可能だと思っている為です。

それこそ、株式における「株価」は、ファンダメンタル分析を用いる事で理論株価を算出できるものであり、その指標としては、株式の発行母体である会社の営業損益や合計資産、純利益などが挙げられます。

ですが、ビットコインを代表とする仮想通貨に関しては、そのような価値の算出に用いる事ができる指標となるものが、殆ど「無いに等しい」のが実情です。

一部の仮想通貨を除く、主要な仮想通貨などは、株式のように「価格連動を伴う発行母体」も無ければ、「独立性が極めて高い通貨」という側面もあり、言ってしまえば、何らかの目的を達成する為に生み出され、それが投資(投機)の対象になっているだけなんです。

仮想通貨における独立性とファンダメンタルの相関性

当然、全ての仮想通貨には、それを生み出す母体(企業、団体、個人など)が存在するものですが、とは言え、仮想通貨の根幹システムとして実装されている「ブロックチェーン」が一度でも稼働すれば(仮想通貨が公開されれば)、その後、発行母体が消滅しようとも、システム上、仮想通貨自体は永続的に稼働し続けます。

故に、その前提の上で、仮想通貨の独立性が高ければ高いほど、発行母体との「価格連動性」は弱まる傾向にあり、言い換えれば、仮想通貨の独立性が高まるほどに、「ファンダメンタルに基づく合理的、客観的な理論価格を算出しづらくなる」と考えられるわけです。

そして、その代表格が、完全に通貨としての独立性を有している「ビットコイン」に他ならないという事です。

もちろん、システム上、発行母体との関連性が高い仮想通貨も存在し、その1つが「リップル(XRP)」という仮想通貨だとされています。

そのような仮想通貨に関しては、当然、その発行母体が有する純利益等の指標から、理論的な価格を合理的、客観的に算出できる余地は十分にあると思われる為、株式同様、ファンダメンタルに基づく売買が支配的になりやすいと考えられるわけです。

とは言え、実際に、仮想通貨が「現実の投資・投機対象となっている」、つまり、需要と供給に基づく継続的な売買が成立し続けている以上、突き詰めて、彼ら仮想通貨の相場を生業とする投資家・トレーダーの判断基準は、他でもない、「テクニカル分析により導き出した基準」という事になります。

故に、ビットコインを筆頭とする数々の仮想通貨相場は、テクニカル分析を主体とする投資家・トレーダーによって「支配されている」と言える事から、『テクニカル分析との親和性が極めて高い』と考えられるわけです。

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もちろん、ビットコインの相場や、その他、仮想通貨の相場においても、少なからず、ファンダメンタル要因は存在すると思います。

ただ、ビットコインを代表とする数々の仮想通貨の相場が「テクニカルを主体とする相場」である以上、そのようなものは「価格を変動させるきっかけ」にはなっても、それ自体が仮想通貨の価値や理論価格を決定付ける要因には、まずなり得ないと思うんです。

従って、何らかのファンダメンタル要因をきっかけに相場が変動したとしても、その後における値動きは、『十分、テクニカル分析で攻略可能である』という事です。

仮想通貨(ビットコイン)と「同等」の相場とは

端的に、ファンダメンタル分析に基づく合理的、客観的な理論価格を導き出せない状況下において、テクニカル分析の有効性が高まるという解説に加え、その合理的な理論価格を算出できない仮想通貨(ビットコイン)が「テクニカル分析との親和性が極めて高い」と解説させて頂きました。

ただ、その前提において、仮想通貨と同様の評価を下せる相場が他にも存在し、それが「金(ゴールド)」の相場に他なりません。

ゴールドは、その希少性の高さ(埋蔵量に限りがある)などの理由から、投資・投機対象とされているものの、その合理的、客観的な理論価格を算出する事は、恐らく「できない」と見ています。

ビットコイン同様、そもそも、それを発行する母体が存在せず、言ってしまえば、ただ「存在するだけ」という事実から、その価値(価格)は、飽くまでも、テクニカルを前提とする『需要と供給』に基づく形で決まっているのが実情だからです。

そういった背景から、少なくとも、私は、ゴールドの合理的、客観的な理論価格を導き出す事はできないと判断しました。

当然、ゴールドは、資産の逃避先として世界的に広く認識されている傾向にある為、その観点で、世界的な有事(戦争、国のデフォルトなど)が発生した際は、それがファンダメンタル要因となり「買いが殺到する」事もありますし、その逆の観点で「売りが殺到する」状況も現実としてあるわけですが、とは言え、適正価格が算出できない以上、その後の値動きは『テクニカル分析の領域』という事になります。

故に、仮想通貨同様、ゴールドもテクニカル分析との親和性が非常に高い相場だと考えられるわけです。

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ゴールドは、いわゆる「コモディティ(商品)」と言われる商品先物の一種である事から、当然、ゴールド以外のコモディティも存在するわけですが、他のコモディティ相場(原油、小麦など)に関しては、当初から検証の対象にはしていませんでした。

と言うのも、例えば、原油の場合、その埋蔵量の莫大さ故に、中東を筆頭とする国々による「供給量の制限」が、比較的、頻繁に為される傾向にあり、その為、一定の価格水準を半ば強制的に推移(維持)させられています。

そのような状況下では、当然、「恣意的な価格コントロールに基づく相場操作」が価格を形成する大きな要因になりやすい(つまり、ファンダメンタルが相場を形成する)と考えられた為、投資の世界に足を踏み入れた段階から、テクニカル分析の選択肢には含めませんでした。

もちろん、原油や、その他コモディティ相場に関しても、テクニカル分析が有効に作用する局面は存在すると思いますが、純粋に、「テクニカル分析が通用するかどうか」という比率の上で、圧倒的に『ゴールドが秀でていた』という事です。

為替相場はファンダメンタル分析とテクニカル分析、どちらが有効か

その上で、ここまで言及してこなかった「為替相場」に関して、「ファンダメンタル分析とテクニカル分析のどちらが有効か」に疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

その点について、端的に申しますと、私個人としては、「為替相場は、テクニカル分析に分がある(テクニカル分析で攻略できる余地がある)」と考えており、その見解は、通貨そのものの本質的価値を「容易に算出できない点」に基づいております。

そもそも、為替相場は、法定通貨間の「価格差」を前提に取引が為されるものであり、例えば、それが「ドル円」の場合だと、「円に対するドル、そして、ドルに対する円」における価格レートの推移を対象に投資・トレードを行なっていくものです。

つまり、ファンダメンタル分析で為替相場を攻略する場合、大前提として、その通貨を発行する「国(上記例の場合、日本とアメリカ)」そのものの本質的な価値を合理的、客観的に算出する必要があるわけです。

もちろん、それら国々の価値を定量的に算出する事自体、不可能な話ではないと思いますが、とは言え、それだけで相当骨が折れる作業が伴う事は避けられないと思います。

更に、そこに輪を掛けて、2国間における相対的な「(本質的)価値の差」を算出できなければならないという途方もない2次工程が待ち受けており、刻々と変わる国内・国際情勢の中で、その都度、2国間における定量的な通貨価値の差を把握し続ける事は、もはや「現実的ではない」と言わざるを得ません。

故に、大部分の値動きはファンダメンタル分析で到底捉えられないと考えられる事から、その大部分の値動きはテクニカル分析に支配されていると考える方が自然であり、突き詰めて「為替相場は、テクニカル分析に分がある」と考えられるわけです。

ただ、為替相場は、株式相場や仮想通貨とは異なり、2国間の相対的な価格差(価値の差)を前提に相場が変動している事から、それら国々の情勢や価格差が互いに相関して、影響を及ぼし合っているという側面があります。

要するに、株式相場や仮想通貨に見られない、その「相関性」が1つのファンダメンタル要因となり、為替相場における2国間の値動きを形成しているという事です。

そういった事情から、個人的に為替相場は仮想通貨ほどテクニカル分析が有効に働く相場ではないと見ており、飽くまでも、『主として相関性に基づく「ファンダメンタル要因」と「テクニカル要因」が連鎖的、複合的に働き合って値動きを形成している』と捉えているわけです。

まとめ:ファンダメンタル分析が有効な相場、テクニカル分析が有効な相場

ここまでの解説を総括、及び、結論付けると、対象とする銘柄の本質的価値を合理的、客観的に算出可能な「株式相場」はファンダメンタル分析との親和性が高く、また逆に、本質的価値を算出できない銘柄ほど、その値動きを支配する傾向にあるのがテクニカル分析であるという観点から、「仮想通貨(ビットコイン)」、及び「金(ゴールド)」が、他でもない、そのテクニカル分析で攻略可能な領域の範疇に最も当て嵌まると解説させて頂きました。

その上で、2国間の相関性に基づくファンダメンタル要因とテクニカル要因に支配されている事を根拠に、仮想通貨には及ばないまでも、ある程度、テクニカル分析の有効性を有する相場が「為替相場」だと解説させて頂き、それらをまとめた関係図が以下になります。

以上、本記事では、「ファンダメンタル分析が有効な相場と、テクニカル分析が有効な相場」を、その背景的考察から言及させて頂きました。

本記事に関連する他記事として、以下のような記事もございますので、宜しければ、併せてお読みください。

> ファンダメンタル分析とテクニカル分析。それら有効性に対する考察

本記事があなたの投資活動に、何らかの形で寄与できれば、幸いでございます。

最後までご精読頂き、ありがとうございました。